デビッドカードは便利なのですが夫婦で使おうと思うと各々にカードが必要(おそらく原則としては本人名義)になります。Sparkasseでは、口座は同じで家族用のキャッシュカードを追加して作ることができるようですが、店舗に行く煩わしさのない、オンライン専門の銀行口座を別で開設しました。ドイツにも沢山のオンライン専門の銀行があり、比較サイトのようなものもありました。その中でも口座維持費無料の銀行で、提携しているATM網が強そうなnorisbankを選びました。
申し込み
日本のオンライン専門銀行と同じく、オンラインで申し込みができます。サイトはすべてドイツ語で書かれていますが、申し込みに関する必要事項はだいたい予想がつくので、辞書を見ながらでもさほど時間はかかりません。職業一覧が多すぎてどれを選ぶか困ったぐらいです。必要事項を一通り入力すると、PDFファイルが表示されるので、これを印刷してサインをして銀行に送り返すという段取りです。このあたりも日本の銀行と大差ありません。
大きく異なる点は、本人確認の方法です。日本では身分証明書のコピーや、場合によっては住所確認のために「公共料金の支払い」を証明する書類を同封して送ることがよくあります。ドイツでは、これをDeutsche Postに肩代わりさせる"Postident"というサービスがあるようです。
申し込み用紙には、「あとはサインをしてPostidentするだけ。」と書かれているものの、その手続きをどうやってやればいいのかは書かれていません。幸いにもDeutsche Postのサイトには詳しい説明があり、とにかく必要書類を持って窓口に行けばよいということは分かりました。
Deutsche Postのサイトで支店検索をすると、店舗で対応可能な窓口業務が書かれています。そこで窓口がPostidentを受け付けてくれるかどうかが確認できます。それを参考にTUMから東に少し歩いたところの郵便局に行って、この書類をPostidentで送りたいと伝えると身分証明書と住所確認の書類を要求されました。私の場合、パスポートと住居登録確認票を見せるとOKでした。
あとの処理はすべて窓口の人がやってくれて、専用の封筒に入れて受付の書類にサインをするだけでした。もちろん郵便代や手数料もかかりません。送る本人を直接確認できるのは確かに郵便の窓口なので、銀行が個人情報の管理をしなくてもよいのは確かに合理的だと思いました。
キャッシュカードが到着
Postidentで口座開設申し込み書を送ってしばらくすると、norisbankから口座開設の申し込みを受け付けた旨の電子メールが送られてきた。大体1週間ぐらいでキャッシュカードやPINやらがすべて別便で郵送(いわゆる普通郵便で)されてきました。カード、PIN、インタネットバンキング用のPIN、テレフォンバンキング用のPIN、TANブロックの5通。最後にPINが届いたので、これが届くまでは実質なにもできない状態。
インターネットバンキング
norisbankのサイトでは、支店名と口座番号とインターネットバンキング用のPINを入力してログインします。Sparkasseのように専用IDではありません。見たところ、Sparkasseとだいたい同じようなサービスが使える模様です。TANブロックは、重要な手続きに必要なワンタイムパスワードで、5ケタの数字が100個書かれていて、おそらく一つの番号は使い切りだと思う。最初に届いたTANブロックを有効にするために、TANブロックに書かれた数字列を入力する。TANは少なくなると勝手に送られてくるようだが、事前に申請して送ってもらうこともできると書かれていた。しかし、口座の残高照会ぐらいしかしていないので、TANは全く使っていない。
使い方
norisbankはネット銀行専門で自社のATM網を持っていないので、提携銀行のATMを使うことになる。提携したATMはかなり多くて便利。DeutshcebankのほかCommerzbankやHypovereinsbankなど、ミュンヘン市内でよく見かける銀行のGeldautomaten(ATM)で使える。もちろん、デビット機能のほかにGeltkarteもATMの操作でチャージすることができた。
帰国後
帰国の際、アパートの清算のためにしばらくユーロの銀行口座を使いたく、維持費のかかるSparkasseは解約しnorisbankはそのまま使うことにした。在住者でない場合に口座の扱いがどうなるのか気になったが、住所の登録を日本の住所に変更しておいたところ、2014年になっても継続して口座明細などの書類を郵便で日本まで送ってくれる。念のため、帰国前に追加のTANブロックを確保しておいた(普段の取引ではまず使わないが)。ユーロ建ての口座があると、欧州方面の出張でドイツやドイツを経由する場合、現金を引き出したりデビットの決済ができて大変便利である。ちなみにキャッシュカードには有効期限(4年間)が設定されているため、更新できるかどうか気になるところである。
カード更新(2016年追補)
カードの更新月の前月に新しいカードが郵送で送られてきました(有効期限は同様に4年後)。従来と同じPINで期限の前の月からでも使うことができました。古いカードはGeldkarteの残高が残っていたのですが、Geldkarteは口座とは紐づいていないので残高はそのままです。いくつか試してみましたが、ATMの操作では払い戻したり移したりすることができないようでした。ミュンヘン市交通局やDBの券売機ではGeldkarteが使えなくなってしまい、使い道がなくて困っていましたが、運よくStuttgartの市内交通の券売機ではGledkarteが使えたのでそこで消費できました。
Postident(2016年追補)
妻のキャッシュカードをnorisbankで作ったのですが、その時にPostidentの手続きに手間取りました。最初は中央駅の東側の郵便局に行ったのですが「パスポートでは出生の証明ができない」「外国人はPostidentはできない」などと言われて受け付けてもらえませんでした。パスポートには出生地や生年月日が書かれているのですが、ドイツ語じゃないからダメのような理論で、それならパスポートそのものを否定しているような.. たまたま受け付けた人がNGというわけでなく、別の(英語が達者な人)を連れてきて同じようにできないといわれてしまいました。たまたまその時にビザ取得用の出生証明(戸籍謄本の認証翻訳付き)も持っていたので、これがドイツで公式な出生証明だと説明しても、「そもそも外国人にPostidentはできない」の一点張りでした。諦めて別の郵便局に行きました(当然、パスポートでOKでした)。
PhotoTAN(2016年追補)
TANブロックは紙ベースなので保管の手間やなくなったら再度申請しないといけないのが面倒です。別の方法では、SMSを使ってTANを受け取る方法と、スマートホンでTANを生成するアプリを使う方法(PhotoTAN)がありました。どちらも最初に登録するための手続きが必要ですが、紙ベースよりはましなのでスマートホンを使う方法を申し込みました。Sparkasseのtanjackと同じ仕組みでオンラインバンクの画面上で表示されるパターンを読み込んでTANを生成するのですが、専用の装置の代わりにAndroidのアプリで行うようになっています。PhotoTAN用のアプリを有効化するコードが郵送されてくるので、アプリの初期設定を済ませれば使えるようになります。紙ベースのTANも併用できるので、スマートホンが使えない場合には従来のTANブロックが使えます。営業時間外にたまにPhotoTANが使えない時間帯があるようです。