研究概要
手話の研究には手話のデータを収集することがまず重要ですが、音声言語の研究と比べると十分なデータの蓄積が進んでいません。体全体と空間を利用して表現される手話ではどのようにそれを記録するかという方法も研究の目的によってさまざまであり、固有の記録方法や記録形態が定まらないという点、また、研究用のデータを収集しても別の研究者がそれを再利用できるとは限らず、様々な理由がデータの収集・蓄積を難しいものにしています。
手話の工学的な研究に長年取り組まれてきた長嶋祐二先生(工学院大学教授 ※現在は名誉教授)を中心に、大規模・高精細な日本手話の単語データベースの開発プロジェクトに参加しました。世界に類を見ない、数千語規模の日本手話の単語を、光学式モーションキャプチャ装置によって記録し、そのデータベースを研究用途に公開しました。現在はKoSignデータベースとして国立情報学研究所(NII)から入手することができます。KoSignデータベースの開発は科学研究費助成事業(科研費)基盤研究(S)による支援を受けました。
関連文献
- 工学院大学 多用途型日本手話言語データベース(KoSign)[URL]
- 三浦 哲平, 酒向 慎司, "3D モーションデータを用いた手話データ生成ツール", 電子情報通信学会技術報告 福祉情報工学研究会, Oct. 2021. [IEICE]
- Keiko Watanabe, Yuji Nagashima, Daisuke Hara, Yasuo Horiuchi, Shinji Sako, Akira Ichikawa, "Construction of a Japanese Sign Language Database with Various Data Types", International Conference on Human-Computer Interaction (HCII2019), Communications in Computer and Information Science book series (CCIS), Vol. 1032, pp.317–322, Jul. 2019. [DOI]
- Shinji Sako, Yuji Nagashima, Daisuke Hara, Yasuo Horiuchi, Keiko Watanabe, Ritsuko Kikusawa, Naoto Kato, Akira Ichikawa, "Discussion of a Japanese sign language database and its annotation systems with consideration for its use in various areas", LingCologne2019, Poster Nr. 24, Jun. 2019.
- Yuji Nagashima, Daisuke Hara, Shinji Sako, Keiko Watanabe, Yasuo Horiuchi, Ritsuko Kikusawa, Naoto Kato, Akira Ichikawa, "Constructing a Japanese Sign Language Multi-Dimensional Database", The 7th Meeting of Signed and SpokenLanguage Linguistics (SSLL 2018), Sep. 2018. [PDF]
- 長嶋 祐二, 酒向 慎司, 渡辺 桂子, 原 大介, 堀内 靖雄, 市川熹, "手話の語彙構造・文法解明に供する3D超高精度DBの開発", 日本音響学会2018年秋季研究発表会, 3-6-3, pp.1471–1474, Sep. 2018.
- 長嶋 祐二, 原大介, 堀内 靖雄, 酒向 慎司, 渡辺 桂子, 菊澤 律子, 加藤 直人, 市川 熹, "多様な研究分野に利用可能な超高精細・高精度手話言語データベースの開発", 言語資源活用ワークショップ2018, pp.148–155, Sep. 2018. [PDF]