銀行口座(Sparkasse)

滞在中は二つの銀行口座を開設した。到着して間もなく作ったのがSparkasse(シュパーカッセ)という銀行。この銀行を選んだ理由は、家賃の支払先だったことと、Webで調べると短期滞在者にも優しい銀行だったという2点。ドイツ各地でSparkasseの支店やATMを見かけるが、地域ごとに独立した銀行らしい。Münchenの場合はStadsparkasse Münchenという名称。市内の至る所で支店を見かけるが中央駅南側の支店(最初に泊まったホテルから一番近かった)で口座開設を行った。

最初に困ったのが、銀行のWebサイトがドイツ語しか対応していない点。銀行に限らず、T-Mobileなどの電話会社も英語のサイトを用意していない。鉄道や航空会社など国外の旅行者が使いそうなものには英語のサイトがあるが、旅行にあまり関係ないところでは英語のサイトはあまり期待できない。

予約が必要

窓口で口座を作りたい旨を伝えると、居住を証明できるものを要求されたので、さっそく居住地登録の証明書が役に立った。これとパスポートを見せるとすぐに予約を取ってくれた。基本的には、その場で応じてくれるものでは無いらしい。翌週の月曜と火曜、時間帯をいくつか提案されて、希望を伝えると担当者の名刺に予約日時をメモしてくれた。窓口では若い女性に対応してもらい、英語でなんの問題もなかった。

開設の手続きは30分ぐらい

指定された予約時間に行くと、すぐに担当者のブースに案内してもらえた。若い男性とがっちり握手をして始める。最初は銀行の紹介のような話で、うんうんと聞くだけだった。口座開設の話になってから、月々の口座維持費のかかるタイプとかからないタイプがあるが、どちらがいいかと聞かれ、値段だけ確認して一応ありの口座を選んだ。ドイツの滞在は初めてか、それ以前に住んでいた国(日本以外)があるか、滞在の目的や期間などを確認していた。おそらく現地で給料を受け取らないことが分かった時点で、色々なステップが省略された気がする。住所や生年月日など個人情報を一通り確認して、端末に打ち込んでその場で口座開設書類を作ってもらえた。いくつかの書類(ドイツ語)にサインをして、口座番号の書かれた仮のカードを作ってもらえた。

日本からこの口座に送金したいと伝えると、IBANの長い長い番号もカードに書いてくれた。あと、手持ちの現金を今の時点で入金できるか聞いたらOKだった。キャッシュカードが無くても窓口に仮のカードとパスポートを持ってきてもらえれば引き出しもできるらしい。1週間ぐらいで、カードやPINが郵便で届くらしい。

カードやPINがいろいろと届く

1週間ぐらいすると普通郵便でカードやPINが別々に届いた。PINは4ケタの数字で銀行が決めたものを使えということらしい。カード裏にサインをする欄がある。デビットカードとして使うときに、クレジットカードと同じようにPINかサインで認証をするときのためらしい。が、店頭の端末でPINで認証する以外にサインで照合するようなことは一切なかった。

ATMの操作

ATMの操作は日本と大差ないので、それほど困らない。引き出し金額がある程度決められていて、(例えば)20、50、100、200、400€のボタンから選べる。別のボタンで希望した金額で引き出すこともできるが、50€以下にはできなかった気がする(ATMによるかもしれない)。引き出しの順は以下の通り。

  1. カードを挿入して、引き出しかGeldkarte(電子マネー)を選ぶ
  2. PINを入力して緑のボタンで確定。黄色は訂正、赤はキャンセル。
  3. 金額を指定して出金

München以外のSparkasseでも手数料無料で引き出しができたはず。

インターネットバンキングの申し込み

口座開設をする時に、Griokonto Classicには全てのサービスが付いてくる(ターミナルサービスやインターネットバンキング)と説明されたので、インターネットバンキングも申し込み済みだと勘違いしていた。しかしそれは勘違いで、口座開設の際にインターネットバンキングの利用を希望しないとだめらしい。後から、近所の支店で申し込みができるか聞いたらその場で登録してもらえた。キャッシュカードを見せただけで何も本人確認しなくて心配になったが、この適当感は対応する人次第なところがある。

インターネットバンキングでは、ログインIDとPINが別途発行されるほか、TANと呼ばれるワンタイムパスワードが使われる。TANを作る専用装置(有料)かSMSで送られるものがあるがどっちがいいか聞かれた。どう考えてもSMSのほうが安くて便利なのは分かっていたが、興味本位でTAN生成装置を選んだ。

TANは日本でいうとワンタイムパスワードだと思うが、ジャパンネットバンクのトークンのようにその場だけ有効な数値列が表示されるだけではなく、もう少し複雑な仕組み。説明ではTAN generatorと呼んでいたが、小さな電卓のような装置。使い方わかるか?と聞かれたので、説明を読めばわかるだろうと思ったけど一応聞いておいた。説明書は箱の裏側にドイツ語で書かれているだけだったので、聞いておいてよかった。この装置の価格は11€ぐらいで、口座から落ちていた。IDとPINが印刷された用紙をその場で受け取って、オンラインバンキングはすぐに使えるようになった。

インターネットバンキング

TAN generator(tanjack)の使い方は少し複雑だが面白い。まず銀行のカードを挿入してFボタンで起動。なんとなく、ここでカードのICを読み取るためにPINを入力する必要がありそうな気がするが必要ない。本体にはテンキーなどもついているが、通常の利用では使ったことがない。

インターネットバンキングでTANが必要な状況になると、画面上に白と黒で何本かのバーが点滅したものが表示される。何かの文字か数字が符号化されているのだろう。これをtanJackに読み取らせると、その都度TANが生成される仕組みらしい。画面のサイズや解像度でいくらでも読み取り部分の実寸が変わるため、画面上のボタンで横幅が何段階かに変えられるようになっている。▼と▼の幅をtanJackの読み取り部のゲージに合わせて調整し、tanJackのセンサ部分(裏側)をかざすと認識する。確認番号が画面上に出てくるので、端末上の番号と一致していたら「OK」を押すと液晶画面上にTANが表示される仕組み。

銀行送金の場合は、振込先の口座番号や金額、プリペイドSIMのチャージの場合は電話番号などがtanjackの画面に表示され確認ボタンを押して進めるので、これらのデータが点滅のパタンにエンコードされているのだと思う。tanjackの背面に斜めにセンサが付いているので、読み取りの時はセンサ面に画面が向くように傾けて使う。横幅の調整は微妙に合わなくてもだいたいあっていれば大丈夫(そんなに細かいピッチで変更できない)。また、画面の輝度が低いと読み取りに失敗することもあるので注意。

SMSの場合はどのようにTANが送られてくるのか分からないが、tanJackのプロセスの複雑さを考えると、もしかするとCitibankのOTPのように単に番号が通知されるだけとは違うのかもしれない。CitibankはオンラインバンクのメニューでOTP発行を依頼すると、一定期間有効な数値列がメールで送られてくる仕組み。

ちなみに、初めてインターネットバンキングにアクセスしたときに、tanjackの登録のような処理をするので、そこでいきなり使うことになる。それ以外は振込やSIMのチャージ、個人データの修正(電話番号など)などで必要になった。

磁気データが壊れる

ドイツの銀行には、いわゆる通帳がない。必要な明細は銀行支店にあるサービスターミナルという機械を使って、自分で打ち出すことができる。必要性は感じなかったがためしに使ってみたら、どうにもカードが上手く読み取れなかった。(少なくとも私が試した数台では)この端末は英語モードにできないようで、エラーメッセージらしきドイツ語が分からないにしても、とりあえずカードが使えないことは分かった。ただし、ATMで現金を引き出したり、デビットカードの支払は問題ない。なんとなく、磁気ストライプが壊れて、ICは生きている状態に思えたので、銀行の窓口で聞いてみるとやはりそうらしい。

カードを再発行してもらえるか聞いたら、できるけど5€かかるらしい。そりゃそうだろう。日本なら1,000円はするはずだからいくらか良心的とは思ったが、しばらくキャッシュカードが使えないのも困る。インターネットバンキングが使えれば、ターミナルサービス要らないよね?と聞いてみたらその通りだと言われ、じゃあこのままでいいです。ということで磁気カードの機能は使えないままでした。最初から壊れていたのか、あるいは未設定だったのかも。